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荻原浩 母恋旅烏


レンタル家族派遣業というけったいなビジネスを営む花菱家は、元は大衆演劇の役者一家。父・清太郎に振り回られる日々に、ケンカは絶えず借金もかさみ、家計は火の車。やがて住む家すらも失い、かつてのよしみで旅回りの一座にふっきすることになったのが…。はてさて、一家6人の運命やいかに!?刊行時、たっぷりの笑いと涙を誘い、最大級の評価と賛辞を集めた傑作!
荻原浩 母恋旅烏



「おもしろい小説が読みたいけど、何を選べばいいのかと悩んでいるなら、まずは、この作家の本を手にとってみてください。スリルとサスペンス、ユーモアとペーソス、小説を読む悦びがてんこ盛りにもかかわらず、胸焼けするどころか胸がじーんとなること必至。自信をもってお薦めします。
と帯に書いてあります。誰が書いたかはわかりませんが、薦められてみます。



日曜日の午後にやっている
ノンフィクションに出てきそうな家族のお話。

なんだかうまくいかないことが続くエピソードに
やもすると飽きてしまいそうだった。
(実際、途中で他の本を読み始めちゃったし)
が、各章ごと、
登場人物によって変わる語り口。
読むのを再開したらあっという間に読み終わった。

メインの視点になってる末っ子寛二クン。
その言動から最初は小学生かと思っていた寛二クン。
実は18歳だった。
多く説明されてないが、
ちょっと遅れぎみらしいおっとり感と
独特の無邪気な感受性に段々癒されていく。

不三家のポッチーをはじめ駄菓子をこよなく愛し
「お酢」「お酢」「お酢っ!」とヤクザに返事をする。
お気に入りのジョークは
「サンキュー」と言うと「ヨンキュー」と答えること。
くだらなすぎて、無邪気すぎてイライラから解放してくれる。
なんかほろっと笑ってしまう。なんだろ、これ。

ポテトチップスを口にはさみあひるの真似して
「があがあ」と鳴いてみたり。
ツーン。
お兄ちゃんも「があがあ」
ツーン。

荻原浩さんはツーンとさせるお話得意なんだな。
前に読んだ「さよならバースデイ」なんて
題名からしてさよなら設定だとわかっているのに
ツーンツーン…号泣だったし。
弱い者をかばってるようで
助けられていたのは自分だったとか
居場所がそこにある安心感とか
期待させない優しいかんじの何かがしみ出てる。

ま、「家族」ってだけでなんだかツーンとくるんだけど。
赤の他人の子供が運動会で走っているのを目撃しただけでも
何故か泣けてくるし
もはやその涙腺の弱さは年のせいかもしれないけど
家族ってね、
うまくいってもいかなくても泣けてしまうんだよね。

労働でへとへとになり人に疲れ果て
現代社会どっぷりの中
忘れてしまった人としての大事な気持ちを
失った訳じゃないと
自分も優しい気持ちを持ち合わせているんだと
感じさせてくれるツーンを
時々は味わってみようと思う。

途中で飽きたことを告白しているので
自信はないけど
色んな意味でハートが弱った人にはお薦めかも。


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theme : 読んだ本。
genre : 本・雑誌

tag : 荻原浩 母恋旅烏

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