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石川達三 青春の蹉跌


貧しさゆえに野心を燃やし、打算的に生きる大学生江藤堅一郎。資産家の令嬢との縁談、そして司法試験合格。成功への階段を駆け登ろうしていた彼に、元教え子の女は妊娠したと打ち明ける。人生設計が狂うことを恐れた堅一郎は、女を殺害。自白を促す刑事が彼に告げた衝撃の事実とは。エゴイズムに衝き動かされる男女の駆け引きを赤裸々に描き、読者に審判を問う永遠の問題作!
石川達三 青春の蹉跌

「犯人の男」と「被害者の女」あなたはどちらに同情しますか?



困りました。
また石川達三さんに困りました。
まっすぐなんですね、このお方はきっと。
この人の本を読むと
親が訳わかんないこと言ってるのを
恥ずかしく思うみたいな
なんかいたたまれない気持ちになるのはなぜなんだろう。



今回の主人公、江藤クン。
法学部専攻の大学生。
学生運動真っ盛りの青春ど真ん中。
なんなら、優秀な同級生が学生運動に溺れてくれれば
社会に出た時、ライバルが減って
むしろ都合がよいくらいに思っている彼。
判断基準は合理的という名の損得勘定。
これに支配され、自滅していくことになる。

彼は、自分の目に映る全てのことを法律に照らし、
確かに規制されているということを確認する
病的なクセがある。
商店街を歩けば、商法の中のたくさんの条文を思い
旅に出れば、車窓を流れる景色に地方自治法…
そうそう。
勉強したてのことを生活の中でみつけると
いちいち反応しちゃうよね。
そして、そうやって確認しちゃうよね。共感。
随所に出てくるこのクセがおもしろくって。
物語の流れとしては
たぶんどうでもいいことなのだろうが
彼のもつ唯一のかわいい部分。

そんな学業優秀な彼が女の子に言いよられ
母に隠れて逢い引きを重ねる。
司法試験に合格し将来が約束されれば
いいとこのお嬢様との縁談がまとまる。
しかし、女の子登美子が妊娠。
弱々しくも詰め寄られ
面倒くさくなったので殺害。
犯行がばれて逮捕。
実はその妊娠、他の男の子供でした~っていう
ドストレートに見てられない残念話。

「どっちに同情しますか?」と帯に書かれてます。
誰が聞いているのかわかりませんが、そこぉ~?


損得勘定は人を幸せにしない
友情や愛情を大義に心を寄せる人の強さは尋常じゃない
ということ。
この本を通じてそんなことを
石川達三さんが言いたいのかと言ったら
そうじゃないかもしれないけれど
人と関りながら成長し、どこかで自分で気がついていくこと。
そんなことを思いました。

そして、映画や本で時折現れては
私を落ち着かない気分にさせる「学生運動」という出来事。
それを熱き左翼青年たちが議論を交わす中、
江藤クンがおしえてくれた。
「自分で働いて、安月給で貧乏暮らしをして、
社会の下積みにされて、被害者になって、それから革命を考えればいいんだ。」
そうかそうか。
学生って社会の当事者じゃないのに
なんで「革命」とか言ってるんだってのが、
私の疑問だったんだってことがわかった。
すごい大義があるのかと勝手に思っていたけど
それは大人からの制約だったり未来への不安だったり
いつの時代でも若者がもつ
普通の焦りみたいなものだったのかな。
それにしても
その時代の流行とか背景とか空気感てどんなだったんだろう。
すごいエネルギーだったんだろうな。
で、ま、これ学生だからできることだったのね、とも納得。
そして、この時代の大人って大人の役割していたんだろうな。
話とは関係ないけど、かなりなるほどー!

石川達三さんの本は
真面目くさって物言う昔の大人の
おもしろさがにじみ出てくるのだよね。
堅物で面倒くさい人とかかわるような気持ちになり
読みはじめるまでに多少の抵抗感があるんだけど
入ってしまえば
その堅さがおもしろかったりするから困るんだ。
この本も「蹉跌」ってなんだってところからスタートだった。
忘れないように記録しておこう。

さ‐てつ【×蹉×跌】
[名](スル)《つまずく意から》物事がうまく進まず、しくじること。挫折。失敗。「計画に―をきたす」「事業が―する」[類語]失敗







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genre : 本・雑誌

石川達三 四十八歳の抵抗


定年まであと七年
叱言ばりかの妻
理解不可能なひとり娘
もっと危険人生はないものか。

五十五歳停年の時代に、退職が現実のこととして見えてきた保険会社次長の西村耕太郎。家庭を持ち、何不自由ない毎日を送っているが、心に潜む後悔と不安を拭えない。その心中を見透かすかのように島田課長にヌード撮影会に誘われる。日常への「抵抗」を試みた西村は、酒場で知り合った十九歳のユカリと熱海に出かけるが…。書名が流行語にまでなった日本的男性研究の原典。
四十八歳の抵抗 石川達三



まずもって48歳と老け具合について。
少々若すぎやしないかとの設定に対しての違和感があった。
定年もだいたい60歳の今、53歳くらいの話なのだろう。

流されるだけ流され諦めの境地に至るまで
これといってなにも展開がない。
冴えないおっさんが非日常にあこがれつつも
煮え切らない言い訳を並べ、落ち着く所は日常だっていう
つまらない結論に至るまでの心情を切々と吐露されてるかんじ。
リアルな人だったら聞いてられない男の純情。

しかし、183ページで急におもしろさがわかった気がした。
ああ、途中でやめないでよかったと思った。
慣れなのか策なのかはわからないけど
しつこい言い訳があまりにどうでもよく、理屈も限界すぎて
妙なおかしみがあふれてくる。
ちょい昔の時代設定の意図がよくわからないけど
昔のサラリーマンは会社行事と言えば熱海だったのか?
やたら熱海が絡んでくる。
が、これと言って熱海じゃなくてもよいかんじ。
昔は熱海と言えば…的ななにかがあるのかもしれないが
まさか、神明のご加護だけのための熱海?
よくわからないぞ、熱海。
物語にも大して影響もないので別にどうでもいいけど。

さらになんだか落ち着かないのは
いちいち主人公の行動も気持ちもわかっている曾我法介。
西村の娘、理枝とその彼ケイのことをなぜ知っているのか?
元探偵とかって説明じゃ足りないぞ。なんなんだこの人は。
しかも、逆切れっぽいこと言いながら
なんで西村とユカリを熱海旅行に行かせたのか?
最後に結婚したのは本当にユカリなのか?
ってか、そもそもなんで西村耕太郎に絡んでいたのだろう?
意味ありげな助言とか薬とかは一体なんだったんだろう?
謎だらけ。

つまらないかって言ったらそうでもなく
おもしろいかって言ってもそうでもなく
ま、そんな本でした。



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tag : 四十八歳の抵抗 石川達三

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