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白の鳥と黒の鳥 いしいしんじ

いしい しんじ
角川グループパブリッシング
発売日:2008-11-22


たとえば某日。ねじまわしに導かれ、太ったひとばかりが住む村に行く。某夜、上野の立ち飲み屋台で国民的作曲家のよた話をきく。またある日、謎の珍味”こぎゅんぱ”に随喜し、獰猛な巨大モミジをみんなで狩りに行く―いしいしんじが聴き取った、ちょっと奇妙な世界の消息をお届けします。生きていることの不思議さと不気味さ、そして愛らしさがくるくるときらめく、万華鏡のようなショート・ストーリー集。


・肉屋おうむ
死に際の父親にラーが言った一言。
「おまえさん、むだじに、じゃないぞ」

・しろねずみ
・せみ子の黄色い傘

・カラタチとブルーベル
女優の双子。

・薄い金髪のジェーン
外人のほら話と駄洒落。
バンジョーと波乱万丈…

・オールド・ブラック・フォスター
・赤と青の双子
望まれない子ども。

・魔法のリコーダー
願いがかなう魔法のリコーダー。

・紫の化粧
おかまの切ない日常。

・紅葉狩り顛末

・すげ替えられた顔色
顔が盗まれた話

・ボウリングピンの立つ所
タクシー運転手の憂い

・緑春

・わたしの千食一夜―第百二十三回―ひらめ、アオヤギ、こぎゅんぱの巻
アオヤギという名の山羊

・白黒の鳥の声
鳥の言葉が人の言葉に聞こえ始めて
ドクタードリトルみたいになっちゃった話

・おっとせいを飼う
妻のためにおっとせいを飼い始めた夫。
別れるのに理由はいらないのだけど。

・薄桃色の猫たち
喘息の息子が飼うのは毛をかられた猫たちだった

・透明に関する四つの小話
・太ったひとばかりが住んでいる村



いしいしんじワールドを読み続け
お腹いっぱいになった。
おはなしを想像することがおっくうになるなんて。
老いだ老い。

子どもの頃は
「ウズベキスタンの話です」とあっても
それが人なのか動物なのか場所かなんてわからなかったし
知らないこと信じられない話があって当たり前
世界そのものが架空みたいなもんだった。
今だってウズベキスタンについては怪しいもんだ。
西の方にある国なのではないかとは思うが
都市の名前だよと言われれば
「そうか」と受け入れられる薄さ。
そんな程度でも
聞いたことあることとないことってのは
大きな大きな壁があるんだと。
でも、そういう文化や背景を知らなくても想像力さえあれば
物語は紡げるのだと思う。
うそこのごっこ遊びは
葉っぱ1枚がお皿となりお金となり
どんだけリアルにはなしを紡ぎだせるかで
真価が問われるわけで
獰猛な紅葉を狩りに行くと言われれば
鼻から疑ったりはせず
外国のジャングル辺りには
そんな紅葉があるのかもと想像したかもしれない。
そして今のこの架空を楽しもうとしようとする
その意識自体が、おお、かなり大人っぽいことなのか。
自分に都合のいい割と生々しい絵空事という意味の
妄想はやめられないけど。
これはこれで想像とおなじ遊びなのかな?

ちょっと悲しげだったり
雲が晴れないトーンに
時にやりきれない気分にもなる
いしいしんじさんの世界観。
こういうのもありっちゃありだけど
根っこにある寂しさが余韻となってしまって困る。


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theme : こんな本を読んだ
genre : 本・雑誌

ポーの話 いしいしんじ

いしい しんじ
新潮社
発売日:2005-05-28


あまたの橋が架かる町。眠るように流れる泥の川。太古から岸辺に住み着く「うなぎ女」たちを母として、ポーは生まれた。やがて稀代の盗人「メリーゴーランド」と知り合い、夜な夜な悪事を働くようになる。だがある夏、500年ぶりの土砂降りが町を襲い、敵意にあらんだ遠い下流へとポーを押し流す……。いしいしんじが到達した深く遥かな物語世界。驚愕と感動に胸をゆすぶられる最高傑作。


うなぎ女、メリーゴーランドとその妹のひまし油、天気売り。
老人と少年と子どもという名の犬。
埋め屋の女房とその亭主。
海辺の町。

うなぎ女の子どもとして生まれたポー。
指と指の間に水かきをもち
水の中を自由に行き来する無垢な生き物。
国も町も生き物さえ架空な世界で
辛いこと悲しいことを体験していくポー。

写真てのは、つまり、大切な嬉しいものなんだな。
メリーゴンラドと出会って覚える罪悪感。
自分の気持ちを持て余し夜眠れないポー。
つぐないについて考える。

犬じじは言う。
「わしらはな、死んだ体をなによりも
大事に扱わなきゃならねえ。
この世の、どんなものよりいちばんにだ。」

さて。
ファンタジーなのか絵本なのか、この世界観。
うなぎ女てなんなんだ。ポーってなんなんだ。
架空の生き物がふわふわ。
なんだろ。
ポーはなんで罪悪感を持つのだろう。
「つぐない」という行為ってなんなんだろう。
フルフル。フルフル。

ひまし油は誰の子どもを身籠ったのか。

この世に誕生した瞬間から
自然の一部として
世界とつながっていることを
確かめずにはいられないことに
驚愕と感動に胸を揺すぶられることはない。

いいとも悪いとも
なんとも感想の持ちづらいお話。
ポーが無垢過ぎるのかいい人過ぎるのか
怒りとか焦りとか
日常に溢れているはずの感情がまったく欠落していて
どうにもふわふわしちゃってね。

theme : 読んだ本。
genre : 本・雑誌

東京夜話 いしいしんじ

いしい しんじ
新潮社
発売日:2006-11


田町のアパートの一室にひっそりとあった闇のバー。酒と詩情溢れる「うつぼかずらの夜」。新宿で世にも可憐なダッチワイフを助ける「天使はジェット気流に乗って」。大海で出会った二匹が築地で思いを遂げる純愛物語「クロマグロとシロザケ」など、東京の街を舞台とする全18篇。『ぶらんこ乗り』の前史時代、原石の魅力が煌めく幻のデビュー短篇集。『とーきょー いしい あるき』改題。



あ。この人って酒飲みのおじさんだったんだ。
勝手に草食系なまじめな人を想像していたのが
完全に裏切られた。嬉しい。
随所に食べ物を丁寧に表現するところ、東海林さだおを思い出す。
急がない、こだわらない、馴染む、居座る、寝転がる。
ちょっと日常っぽいけど、日常でもないような本当に短い短篇。


 ・真夜中の生ゴミ 下北沢
「長髪で『尾崎っぽい』のが杉並、『メタルっぽい』『パンクっぽい』のが、まず世田谷だね、ええ。あと『ヒップホップ』もうちかな。『ジャズ』はあっち」
ぺらぺらにして洋服から抜き取る生ゴミ(!)

 ・ベガ星人はアップルパイが得意なの 原宿
宇宙人に認められた「ぼく」が壊れた子なのか?

 ・お墓アンダーグランド 上野・谷中
お墓の先にある三丁目の夕日的異次元で出会う
さっちゃん!さっちゃん!さっちゃん!

 ・魚のおろし方を学ぶ速度で 新宿西口新都心
「だんだんわかってくることってあると思うんだ。魚のおろし方とか」
昔のままなことを喜び、自分の知らない成長に切なさを感じる。
大人の喜び、大人のわがまま。
そんな男の純情をニヤニヤと読んでしまった。
魚をおろせるようになった背景とか真実なんてのは無粋ってことで。

 ・老将軍のオセロゲーム 神保町
人生に起こることが書かれている運命の本を探す老人の話。
インドの葉っぱ占いみたいなので
全人類の運命が一枚一枚書いてあるってそんなのあるね、
偽物だらけらしいけど、なんだっけかな。

 ・クロマグロとシロザケ
いや、ちょっと、どうなんでしょうか、これ。
魅入られたように動けなくなるような美しさより
生物としてのグロを感じてしまった。

 ・そこにいるの? 大久保
笑うラジオ
ちょっとした集団催眠じゃないのか、これ。

 ・クリスマス追跡 渋谷
数年か無視し続けていたクリスマスを見極めようとする話
クリスマスは堕落も更正もしていないぞ。
おもしろい!

 ・『クラブ化する日本―その中心部をめぐる一考察』 銀座
全国にある銀座に気がつく何ぞ、なかなかの視点。
「武蔵境」に境目を探しに行ったという外国人と会ったことがある。
人の気になる視点っておもしろい。

 ・うつぼかずらの夜 田町
うなぎの寝床のようなアパートの一室で勝手に闇バーを開くNとSとぼく。
お客さんがほいほい集まる酔狂な2年間。
酔いつぶれることも幸せだった。

うつぼかずらとは
マレーシアからボルネオ島、スマトラ島、フィリピンなどに分布する食虫植物。
口を開き、ひょうたんのようにぶらさがる姿が不気味。
植物のくせに虫を食べるって怖い。ハエ取りとかでも使うらしい。

 ・すごい虎 柴又
トラを待つ街でぶらぶら暮らすイヌ目線の話。
イヌに落書きって違和感なんだけど。
あ、まゆげ書いたりする人いるか。

 ・正直袋の神経衰弱 池袋
田舎は農家の池袋。渋谷や新宿に並ぶ立ち位置に悩む。
なにがなんだかでおもしろい。
適当過ぎる感想だけど、そんなかんじなんだもの。

 ・アメーバー横町の女 上野・アメ横
アメ横には気がついてはいけないお店があるらしい。

 ・もんすら様 巣鴨
巣鴨には行ったことがない。
なんだかものすごい魔力があるみたいだ。
私もおばあさんになる前に
わざわざ耳かきを買いに行ってしまうのだろうか。
行ってしまいそうなくらい魅力的。

 ・お面法廷 霞ヶ関
ちょっとありそでなさそなシュールな裁判。
自分で選べる「役柄」って大事だな。

 ・天使はジェット気流に乗って 新宿ゴールデン街
ダッチワイフと過ごした貴重な時間。
アムステルダムに送られても…
故郷はやっぱり日本じゃないのか?

 ・吾妻橋の下、イヌは流れる 浅草
元住職のホームレス先生とおでんをつつく男。
「空というのは、だしや。具の空間を埋め、具にしみる「だし」、これが空や」
と言って、おでんのだしが継ぎ足されるすご技。
その先生が落書きイヌをつれて歩き出す。あ。柴又のアイツだ。
姿が見えなくなり、てっきり死んだと思われた先生は
実は寺にもどり、イヌと一緒におじいさんとして暮らしていましたとさ。
めでたしめでたし

 ・二月二十日 産卵。 東京湾
日比谷公園でポッップコーン、おにぎり、卵焼き。
銀座通りでハムサンド、キャベツ、レタスで満腹。
中央防波堤でさちこって書いてある赤いゴムまりを見つけ、投げ合って遊ぶ。
たぶんカラスだろうと思ったけれどやっぱりカラスだった。
鳥たちも生きるためにがんばっているんだな。

theme : 読んだ本。
genre : 本・雑誌

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Author:バブエット
気ままな読書が趣味の怠惰な会社員です。雑食系。

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